舞鶴地域医療シンポジウムが2009年6月28日に舞鶴市の主催で行われました.その中で荒木舞鶴医師会会長が述べた内容と舞鶴市作成の資料を掲載します.舞鶴の現在の医療状況について少しでも理解を深めていただければ幸いです.
舞鶴医師会 荒木会長 発言内容
本日私は公的4病院の院長はじめ病院勤務医約60名を含む135名の舞鶴医師会会員を代表してこの場に参っております.
舞鶴地域医療あり方検討委員会は(私も委員一人として参加しましたが)平成19年5月28日に第一回委員会が開催されて以降,二回の市民の意見を聴く会と7回の委員会が開催され,平成19年11月28日に市長への最終答申がなされました.
当時どんどん勤務医が減少して行き,このままでは近い将来,総合病院としての機能を保つ病院がなくなってしまい,舞鶴市民が市外の病院にかからなければならない事態がやってくるのではないかと危惧していましたし,今も心配しています.
舞鶴市の医療崩壊が始まる前の4病院が充実した医療サービスを提供出来ていた状況下では,患者さんは病院を自分で選び,自分の言い分を聞いてもらえる病院を自由に選ぶことが出来,病院もそれに答えようとして来ましたが,現在の特に時間外診療は人的医療資源の枯渇のため,患者さんの満足できる最大限の医療ではなく,必要最小限の医療サービスで我慢してもらわなければ対応出来ない状況に陥っています.
前医師会長から昨年舞鶴市内の救急告知病院3病院にある平日の夜間に内科の当直医がいなくて,舞鶴市民である救急患者さんが市外の医療施設を受診しなければならなかった例があったと聞きました.
更に,肺癌検診の精密検査のため舞鶴市民でありながら綾部市立病院まで行って,呼吸器の専門医に検査をして貰わなければならないという現状であります.それに加えて市内の病院には常勤の糖尿病や腎臓内科の専門医もいません
この様に市内の病院はそれぞれ不足している部門が多々あり,例えば,交通事故で負傷した患者さんが共済病院や舞鶴日赤に救急搬送された場合骨折や外傷は対応できるが脳外科医がいないので脳外傷は対応出来ません.またその反対に舞鶴医療センターでは脳外科のスタッフは充実していますが整形外科の常勤医はいません.
共済病院で出産しても,超早産児や呼吸障害を持つ重症な新生児なら新生児集中治療室(NICU)のある舞鶴医療センターに緊急に移らなければならず大変危険で不便なことであります.
ただ今申しましたように舞鶴市の地域医療の状況は綱渡りをしているようで,大変厳しく,あやうい状態にあると考えます.
ここで,舞鶴市よりの資料を示します.
4.舞鶴市内公的4病院と京都市内の総合病院との比較
舞鶴市内の病院の勤務医も診療所の医師もそれぞれ疲弊することなく患者さんにあたるためには,病院と診療所の本来の役目を徹底することが必要であります.
すなわち,病院では勤務医が24時間365日の救急医療に従事し,朝から入院患者さんに100%のエネルギーを注ぎ,一日でも早く社会復帰して貰う事を目指し,専門医による専門外来や高度精密検査を引き受ける施設であり,慢性の安定した疾患は扱わない.
安定した慢性疾患は各診療所に逆紹介して貰い,診療所は外来診療と在宅医療に専念し,急性期の患者さんや慢性疾患が急性増悪した患者さん達を速やかに専門病院に紹介し必要に応じて入院治療して貰い,患者さんの早期回復を目指す.簡単に言いますと,病院は急性期入院を診療所は慢性期の外来を担当すると言う事です.
ところが現実には,病院では昼食も摂れず朝から午後の3時・4時まで外来診療しその後入院患者さんを診て回るという事では勤務医の疲弊を免れる事は不可能であります.この現実をきちっと改革しなければなりません.
熱がある,のどが痛い等の風邪の様な症状だけでも,すぐ夜間や時間外に病院を救急受診するのではなく解熱剤等を使用して在宅で様子を見て,診療所のかかりつけ医に入院が必要かどうかを判断してもらい,必要なら病院へ紹介されて受診して頂きたいと考えています.
舞鶴地域医療あり方検討委員会が舞鶴市内の勤務医にアンケートした結果,大変言いにくい事ですが,勤務医の疲弊の大きな原因の一つとして,市民の側にも改善して頂きたい問題が明らかとなりました.それは大病院志向であり,コンビニ受診であります.更にショックな事に,勤務医の2/3以上の先生達が舞鶴で今後長く働く気がないと回答しました.
四つの病院に分かれて(資料にある如く)限られた数の患者さんの診療をしていると,中でも若い医師達は,常に色んな症例に当たって,自身のレベルアップを目指しております.特に外科系の医師にとって色んな症例の手術経験が重要視されていますし,多彩な或いは珍しい症例を経験できる病院や高度な医療技術を習得できる医療施設には(資料の京都市内のA病院の様に専攻医や研修医の数)若手医師はこぞって働きたがるけれども,この様な機会の少ない病院(例えば舞鶴の4病院の様に)には集まらないのが現実であります.
ただ今申しました様にこれらの諸問題を解決するためには,
1)病院と診療所の役割を明確にして,それを実行すること.
2)限られた人的医療資源を疲弊させずに良質の医療サービスを提供し続けるためにも,舞鶴市民に
受診の仕方を学んで頂くこと.
3)資料の京都市内のA病院の様に若手医師には非常に魅力があり,かつ市民が安心して必要な
医療を引き続き受けられる病院を作ること.
=下記のごとく舞鶴市公的病院再編推進委員会で取りまとめられた再編イメージ案のごとき新たな
医療施設が必要と考えます.